Japanese
English
論説
腺腫様甲状腺腫の再検討—病理組織学的特徴と臨床上の意義について
Rappraisal on the pathology,:incidence and clinical features of adenomatous goiter
藤本 吉秀
1
,
岡 厚
1
,
福光 正行
1
Yoshihide FUJIMOTO
1
1東京大学医学部第2外科教室
pp.1791-1800
発行日 1968年11月20日
Published Date 1968/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204737
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はじめに
甲状腺に生ずる良性の結節は,病理組織学的に腺腫(adenoma)と腺腫様甲状腺腫(adenomatousgoiter)に2大別でき,欧米では常に論議の対象にされているが,わが国ではこの両者の鑑別にとくに注意をはらつて検討した論文が少なく,わずかに伊藤1)や沢田2)の報告をみる程度である.それというのも,欧米では腺腫様甲状腺腫が非常に多く,ことにアメリカの五大湖周辺や太平洋岸のendemic goiter areaでみられる甲状腺腫は大体この病変によるものであるといわれており,そうした疫学的な問題をかかえている上に,実際臨床面では橋本病や甲状腺癌と如何にして鑑別するかが問題にされ,また甲状腺機能亢進症状を伴う腺腫様甲状腺腫の患者が少なからずみられるということもあつて,甲状腺疾患のなかではもつとも重要なものの1つにされているが,わが国ではそれほど頻度が高くなく,また病変の程度も比較的軽いものが多く,甲状腺機能亢進症状を伴うものは非常に少ないという点から臨床医の関心を強くよぶまでにいたらなかつたのではないかと思う.
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