Japanese
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特集 肛門外科
診療に必要な解剖の知識
Present-day surgical anatomy for proctologic practice
鬼束 惇哉
1
,
檜垣 潜
2
Atsuya ONITSUKA
1
1岐阜大学
2土岐市立駄知病院外科
pp.1427-1432
発行日 1968年9月20日
Published Date 1968/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204686
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はじめに
肛門部は,消化管の上端とは解剖的に,1)皮膚と粘膜との間に特別な移行皮が介在し,2)複雑な括約機構を持ち,3)知覚神経が豊富に分布していることなど似たことが多いが,機能的には入ると出るとで全く異質な部分であって,やはり特異性が明らかで,例えば壁に若干の壁龕があり,歯は無く,血管は3系統で,静脈叢が発達していることなどいろいろちがう.かかる肛門部の解剖は一般になおざりにされているけれども,この知識は口唇部のそれに比べると臨床的に格段に重要なもので,例えば口唇付近の顔面筋の解剖知識が特別な医家だけの問題であつても,肛門括約筋や恥骨直腸筋のそれは肛門指診がroutine検査であるかぎりは,はるかに多くの医家に大切であり,肛門外科においてはもちろん不可欠な基礎である.この外科的解剖知識は,奇形,外傷,炎症,腫瘍など対象群によつて重点のありかがちがう.また微細構造については学者の見解がまだ一致していぬところがある.ここではなるべく片寄らずに全般的な概略を述べることが,私どもの役目かと思う.
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