Japanese
English
特集 イレウスの治療—その困難な問題点
急性虫垂炎に機械的イレウスを併発している場合どうするか
How to treat in the case of acute appendicitis complicated mechanical of struction
脇坂 順一
1
,
矢野 博道
1
Junichi WAKIZAKA
1
1久留米大学医学部脇坂外科教室
pp.1406-1408
発行日 1967年10月20日
Published Date 1967/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204430
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はじめに
イレウスの治療の特集の1つとして,筆者らには"急性虫垂炎に機械的イレウスを併発している場合どうするか"という表記の課題について解説するように編集子から依頼を受けた.
数名の実地臨床外科医および教室員に上記の題の質問をしたところ,「虫垂切除を行ない,イレウスを解除する」ときわめて簡単なしかも明確な解答が得られた.なるほど,急性虫垂炎に対しては虫垂切除を行ない,併発した機械的イレウスに対してはこれをなんらかの方法で解除してやればよいわけで,問題はないように思われるが,さらに深く考えてみると,非穿孔性の急性虫垂炎に機械的イレウスを併発することは盲腸炎を合併するような高度の炎症がある場合以外にはほとんどなく,急性虫垂炎にイレウスを併発するのは主として穿孔性の虫垂炎で,膿瘍を形成した部位をschützenするように小腸ないし大網が癒着してイレウス状態を起こすか,または虫垂穿孔によつて腹腔内(freies Bauchhöhle)に流出した膿汁ないし滲出液が拡散しないように小腸相互間が防波堤のように癒着し,またはこれに大網が加担して発生する癒着性イレウスの場合である.したがつて,急性虫垂炎に併発した機械的イレウスはその病巣を拡散させないようにし,限局化せしめようとする汎発性腹腹炎に対する生体の防衛機構とも解せられる.
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