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特集 虫垂炎—その困難な問題点
開腹して虫垂炎の見つからなかつた場合の処置はどうすべきか
How to deal with not-inflammatory appendix after laparotomy for appendicitis
中谷 隼男
1
Hayao NAKATANI
1
1田園調市総合中央病院外科
pp.1652-1654
発行日 1966年12月20日
Published Date 1966/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204166
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はじめに
史垂炎も急性腹膜炎にまで発展進行する急性の場合もあり,慢性に経過するものもあるが,いずれにしても手術を奨められるものである.虫垂炎として手術されるものは日常極めて多く,外科病床の通常7割以上を占めるものであろう.しかし右下腹部に疼痛を伴う訴えがあれば一応虫垂炎として手術されがちであるが,病理組織学的に本当に虫垂炎であつたかは仲々むずかしい場合もあると思う.容易な手術でもあり,切除したために欠落症状の起こらない不要な器官であることは幸いである.例えばかつてある期間に右下腹部の疼痛性障害に対して虫垂切除術を行なつたものを詳細に検討してみたことがある(東京逓信病院 昭和20年〜29年),すなわち2,090例中切除せる虫垂に予期した炎衝の所見が証明しえなかつたものが419例(20%)であつた.また,さらにそれを詳しく検討してみると,第1表のごとくであつて,移動性盲腸が重要な役割を演じていることが判かる.
次にまた開腹切除せる虫垂に充血も浮腫も認められない場合に慢性虫垂炎と片付けられることは多いと思う.それに関する検討も必要である.
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