読影のポイント
脳波の読み方—(11)てんかんの脳波〔3〕・脳血管障害の脳波
喜多村 孝一
1
1東京大学医学部脳神経外科
pp.1718-1721
発行日 1966年12月20日
Published Date 1966/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204184
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Ⅴ.てんかん脳波の検査法
てんかん患者の脳波検査を行なうにあたつては,単なる安静覚醒時の検査だけでは不備で,いろいろの賦活法のもとに検査することがとくに大切である.脳波の賦活法についてはすでに本誌21巻5号に詳しくのべたとおりである.賦活法のうちでとくに臨床脳波検査に有用であり,広く行なわれているのは過吸呼と睡眠であり必要に応じて光刺激も併用される.
過呼吸は皮質下てんかん,なかでもpetit malの脳波賦活にはもつとも適している(第1図).皮質てんかんではepileptic dischargeが賦活されるばかりでなく,cortical lesionによつて生ずるfocal slow waveも強調される.cortical lesionのなかでは側頭葉の焦点が過呼吸によつてはもつともよく賦活されやすい.しかしながら注意を要するのは,過呼吸によつて現われるparoxysmalwaveがすべててんかん性異常波とは言えないということである.正常人にも過呼吸を行なわせるとslow waveburstがしばしばみられ,小児ではむしろ正常なnonspecific responseと言えるのである.本誌21巻5号p.647の第1図にその1例を示しておいた.小児ではhighvoltage delta wave burstに,あたかも低振幅のspikeをおもわせる小さな刻みが重なつて現われることさえ正常にみられる.
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