読影のポイント
脳波の読み方—(10)てんかんの脳波〔2〕
喜多村 孝一
1
1東京大学医学部脳神経外科
pp.1581-1587
発行日 1966年11月20日
Published Date 1966/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204156
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Ⅱ.皮質てんかんcortical epilepsy
1.発作間隔時脳波
大脳皮質のてんかん源の部にspikeがみられる.一般に皮質下のてんかん源によるspikeは日常の臨床検査で行なう頭皮導出では徐波を伴うことが多いが,皮質の焦点から発するspikeは徐波を伴わず単独に現われる傾向がある.皮質てんかんに特異な脳波所見は,限局性のspikeで,sporadic spikeとしてあらわれることが多いが(第1,2図),multiple spikeの形をとることもある(第3図).一局所に限局してSpikeが現われれば容易に皮質てんかんと診断できるが,皮質てんかん必らずしも焦点に限局したSpikeを呈するわけではない.前頭葉や側頭葉は左右の間の神経路連絡が緊密なため,一側の皮質焦点の場合でも反対側にも対称的にspikeを示す.mirrorfocusと呼ばれている.さらに,反対側対称部位のみでなくdiffuseにspikeが拡がつていることもある.このような場合は三角法,直列双極導出による位相の逆転その他によつて慎重にspikeの発現部位の局在を決定しなければならない.とくに皮質てんかん焦点が大脳半球内側面やinsulaにある場合は,皮質下てんかんとの鑑別が困難である.
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