Japanese
English
特集 術後早期の再手術
小腸,虫垂手術の場合
Relaparotomie follwing the operation of small bowel or appendix
斉藤 淏
1
,
鈴木 和徳
1
,
馬越 正道
1
,
田中 茂夫
1
Kiyoshi SAITO
1
1日本医科大学外科
pp.1353-1360
発行日 1970年9月20日
Published Date 1970/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205202
- Abstract 文献概要
開腹術後の早期における腹壁の哆開に関しては論外とするが,出血,腹膜炎,イレウスの併発に関しては再開腹に係わる重要な問題である.その発生が問題になると,まことに息づまる情景が展開し,とくに術者がご自分であつた場合には,緊迫感と焦燥感のうちにいいしれない孤独感にさえおそわれることが多い.しかし一応事が解決し時がたつに従つてその悪夢に似た記憶も速かに薄らいでゆく傾きが強い.再開腹が絶無とは考えられない今日ではやはりその都度,その時によく考えよく反省することを習慣にしておきたいものである.
小腸や虫垂の手術は多い,その割合に早期の再開腹は少ないように思なつているが,これも貧しい記憶力のせいかも知れない.著者等の全開腹例についても詳細に調査すべきであつたが不勉強を許されたい.しかし術後イレウスの最近5年間186例中では術後10日以内の早期発症例は48例(25.8%)で,その21例は開腹されている.すなわちその初回手術は他院で行なわれたものも含まれているが,術後イレウス併発のために早期に再開腹された症例は43.8%の高率となつている.虫乖手術は数も多いし,その後の再開腹例は,とくに最近では低率となつていると思うが,つねに軽視していてはならぬことはいうまでもない.
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