海外だより
ソ連医学の現況
渥美 和彦
1
1東大医用電子研究施設
pp.1265-1267
発行日 1966年9月20日
Published Date 1966/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204090
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去年の8月,東京で開催された第6回国際ME&BE学会で,ソ連医学アカデミーの副総裁のParin教授がソ連医学会を代表して,『宇宙生物学と宇宙医学とにおけるエレクトロクス』と題して,2時間余にわたり特別講演を行ない,宇宙飛行士の脳波,心電図,心音図,呼吸数,血圧,眼球運動,などを無線で遠隔測定した貴重な記録を公開し,われわれに深い感銘を与えたことがある.また双頭の犬や,心臓移植の実験,切断肢の血管吻合器による縫合など,断片的なニュースのみ知られているソ連医学の現状を正確に知りたいと考えるのは,ひとり私のみではないであろう.私は,2週間余りの短い滞在ではあるが,Moscowに滞在し,ソ連医学の一端に触れる機会を得たので,ここに簡単に紹介したいと思う.
現在,ソ連の医学研究には,宇宙医学,神経生理学,癌の研究,人工臓器の4本の研究の柱がある.残念ながら,期待した宇宙医学を見学することはできなかつたが残りの3本の研究に関しては,一通りではあるが見学することができた.ソ連の医学研究所は全国で300以上あるが,それらの医学研究の中心となつているのは,やはり32のソ連医学アカデミー研究所であり,その中の26がMoscowに集中されている.
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