グラフ グラフ解説
先天性腸閉鎖症と類似疾患の診断
岡部 郁夫
1
1日本大学医学部第1外科
pp.1255-1259
発行日 1966年9月20日
Published Date 1966/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204087
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先天性腸閉鎖症は,胎生期における腸管の発生異常により,腸管内腔の完全閉塞をきたすもので,新生児の外科的疾患のなかで比較的数も多く,重要な疾患である.本症に類似し問題となるものは,ヒルシュスプルング氏病であるが,これは新生児期には急性イレウスの状態を呈することが多く,腸閉鎖と誤られる可能性のある疾患である.このほか先天性異常に関係する,あるいは関係のない種々のイレウスが新生児期にも存在し,問題となる.今回は先天性腸閉鎖症を中心に,新生児期イレウスの鑑別診断について記載する.
新生児期のイレウスにおいても,嘔吐,腹部膨満,排便障害とか,腹部レ線所見など,大人のイレウスと共通する点が多いわけであり,生後まもなく起こつてくる.とくに出生当日より頑固な,しかも頻回な胆汁性嘔吐をみた場合,まず先天性腸閉鎖症を一応疑い,さらに他の類似疾患と鑑別することが必要である.このためには,まず患児を立位とした腹部単純レ線像が非常に役に立つ.その主な所見として,腸管内ガス膨満像と鏡面形成像がみとめられ,新生児でレウスということが診断され,同時に鏡面像,腸管ガス像の状態から完全閉塞か,狭窄か.さらに通過障害の存在する部位もおおよそ見当がつけられる.さらに,何の原因による通過障害であるかを明らかにするために,造影剤の注腸造影を行なうと先天性小腸閉鎖症では,全結腸がマカロニ様の細い管状物,いわゆるmicro-colonの所見を呈する(第7図).
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