今月の主題 胆道疾患診療のトピックス
胆道形態異常の病態
先天性胆道閉鎖症の診断と治療
大川 治夫
1
1筑波大学臨床医学系・小児外科
pp.678-679
発行日 1985年4月10日
Published Date 1985/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219718
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先天性胆道閉鎖症は形態学的に吻合可能型と吻合不能型に分類されてきたが,吻合可能型は5〜10%に過ぎず,肝門部が瘢痕状である吻合不能型はすべて不治の病とされていた.1959年葛西の肝門部腸吻合術の報告1)以来,すでに20数年を経たが,この不治の病に対する手術法が本邦において,続いて欧米においても次第に一般化し,とくに最近10年間の成績向上は飛躍的ともいえるものである.とくに本邦ではこの疾患に対する啓蒙が進み,早期診断が行われるようになり,実際に生後60日以前にも手術が行われ,手術成績はなお向上しつつある.
発生頻度は,本邦でも欧米でも生産児の0.5〜1/10,000と推計されており,とくに日本に多いこともなさそうである2).発生原因についてはなお不明であるが,肝外胆管の組織像は一率に炎症後瘢痕性変化がみられ,微細胆管遺残もみられ,現在出生前後の何らかの炎症性機転が考えられている.
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