研究
先天性空腸閉鎖症
田村 さゆみ
1
1日大産院
pp.45-48
発行日 1962年9月1日
Published Date 1962/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202405
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I.はじめに
最近公衆衛生の発展と共に児童福祉法に基づいて,昭和29年には育成医療,昭和33年養育医療,さらに今年度よりは新生児の家庭訪問指導が始められて,母子衛生対策も一歩一歩前進はしているが,なお全乳児死亡率中新生児死亡は増加の傾向にあり,死因率の第一は,新生児固有疾患および性質不明の未熟児63.0%,次いで,肺炎12.2%と新生児奇形4.4%が,主なものになつている.最近日本においても普及してきた.新生児外科専門医の立場から見ても,これらの新生児死亡の中には,早期にその症状から原因を知れば,当然救うことのできるものが,相当に含まれているとのことである.私達助産婦は施設においても,家庭においても新生児に最も接する機会が多く,従つて,私達の詳細な観察力によつて異常の早期発見に役立ち,適正な処置が速かに行なわれて上記の死因による死亡,ひいては新生児死亡を1人でも減じることができれば幸であり,またこれが私たちの務めでもあると思う.最近私は「先天性空腸閉鎖症」の一例に遭遇し私自身の今後の仕事の上にも非常に勉強になりましたので,何かの御参考になる点でもあればと思い,報告させていただきます.
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