患者と私
患者は最高の恩師と思う気持
武藤 完雄
1
1福島医科大学
pp.676-677
発行日 1966年5月20日
Published Date 1966/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203977
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臨床医学は病気を,患者を対象とする.患者は恩師,先輩に勝るとも劣らない有難い先生である.医師の向学心の程度に応じて,患者は何んでも教えてくれる.熱心さが不足では何も教えてくれないかもしれない.患者は医師を先生というが,実際は反対かもしれない.
むかしは教室に入ると最初のテーマは病例報告であつた.文献や少し詳しい成書を読むと,ある疾患の重要な点や問題点がいくつか判つてくる.先輩が書いた病歴には重要点が見逃されたか,記載がない.こんな時はこんな記載では報告にならないと悲観したこともあつた.しかし先生の命令だからと思い直して何んとかまとめた.ここで判つてくるのは病歴の記載が重要なことである.教室のためにも,後輩のためにも詳細な記載を残すように努力するようになる.
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