特集 看護研究を検討する—あるレポートを中心に
検討2
この患者の気持は……
福田 邦三
1
1山梨大学
pp.30-31
発行日 1968年10月1日
Published Date 1968/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914143
- 有料閲覧
- 文献概要
ここに書かれた患者Iさんの行動のパターンを通覧してゆくと,彼女が看護婦Aさんに対して,特別に寄りすがる気持をもっているように見えます。そして,怒ったり,すねたり,親しんだり,不満をもったり,満足したりする気持の変転,あるいはムラ気として眼につくものは,ヒステリー様の素地から出たものと見るよりも,むしろ,恋する人や,親の愛撫を求めて甘える幼児ないし少年少女の行動パターンに似ているようです。おとなの場合でも,たよる者のない気持になっている病人に多かれ少なかれ共通に見られる患者心理のーコマが,たまたま強く現われたものではないでしょうか。
以上は,見せていただいた描写を資料にして,私の心に浮んだ一つの想定に過ぎません。実際の看護サービスの現場を手近かに控えた病院のカンファレンスに私が出席していて,いろいろ質疑応答に参加する機会があったら,上の想定を確認したり,取消したりすることができたかもしれませんが,いまはただ,私の心に浮んだ一つの感じだけを申し述べるにとどめます。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.