Japanese
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特集 胃手術後の困難症
術後逆流性食道炎
Postoperative regressive esophagitis
愼 哲夫
1
,
白鳥 常男
1
,
岡林 敏彦
1
1東北大学医学部槇外科教室
pp.467-476
発行日 1966年4月20日
Published Date 1966/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203940
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まえがき
外科学の進歩により現在胃の手術は安全確実となり,近側(噴門側)胃切除術および胃全剔除術も広く行なわれるようになつた.しかし,その際行なわれる食道胃吻合,食道空腸吻合,食道十二指腸吻合とか,噴門部狭窄のため噴門成形術が行なわれる場合には,噴門部の括約作用が欠除して機能不全をきたし,術後に消化液の逆流が必発する.これが逆流性食道炎の原因となつて,胸やけ,嚥下痛などを招き,食餌摂取が防げられ,栄養低下をきたすほか,時には出血,穿孔,狭窄などの重篤な合併症を起こすこともある.かかる術後逆流性食道炎に対する治療としては,効果のあまり期待できない薬剤段与を中心とした保存的治療法がもつぱら試みられ,また再手術により逆流を防止できる症例がきわめて少ない.したがつて,最初の手術の際に,逆流の起こらない手術を行なうことが望まれ,これまで,種々の予防的手術も企だてられてきた.しかし,噴門機能を,どうしても犠牲にしなければならない場合も多く,逆流性食道炎は,外科医にとつては,現在一つの大きな問題となつている.そこで今回は,術後逆流性食道炎の原因,発生頻度,治療などについて言及すると共に,予防的手術についても検討を加えてみることにする.
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