Japanese
English
症例
肩甲軋音症の1例
A case of snappingscapula
木下 博
1
,
吉松 俊一
1
,
杉山 義弘
1
Hiroshi KINOSHITA
1
1中国労災病院整形外科
pp.956-961
発行日 1965年7月20日
Published Date 1965/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203689
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緒言
肩甲骨の自動運動に際し,肩甲骨と胸郭の間で,弾撥するような異常軋音を発するものを肩甲軋音症と総称し,非常にまれな病的現象である.軋音の軽度なものは生理的摩擦音と考えられて病的意義を有しないが,肩甲軋音症といわれる高度なものは,しばしば数m離れたところでも聴取され,疼痛や倦怠感をともない,治療の対象となる.この疾患については1867年Boinetが初めてパリー外科学会で報告してより,軋音の原因や発生機転に興味がもたれ,Küttner9),Grünfeld10),Hohmann11),Bergmann13),Geyer14)等の報告がある.
Mauclaire (1904)は音の大きさをFroissment, Frott-ment, Craquementの3群に分け前2者を生理的摩擦音とし,Craquementを病的原因によるものとした.生理的摩擦音の頻度につきBassompiereは健康な兵士72人を調査して51人に認め,Grünfeld10)は100人中31人(31%),Eufinger12)は210人中59人(28%)の高率にみている.
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