印象記 第65回日本外科学会総会印象記
脳神経外科
深井 博志
1
1新潟大学医学部脳研・脳神経外科
pp.782-783
発行日 1965年6月20日
Published Date 1965/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203644
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今年の外科学会は脳外科に関する限り,例年,秋に開催される脳神経外科学会の春の討論会の感があり,吾々には感銘深かつた.これは会長大井実教授の心憎いほど巧みな主催と運営によるもので,一般演題171題中の脳外科関係26題の中に会長依頼演題19題を配し,ともすると弱点になり易い外科の一分科である脳外科の演題内容を補足充実し,更に現在社会問題にまで発展,その関心の有無を問わず一般外科医に救急処置の委ねられる機会の多い「頭部交通外傷」をシンポジウムに取上げ,多方面から検討を加えてその成果を挙げたからで,この点で一般外科医にも感銘の深い有意義な学会であつた.先ず第1日
除痛手術は痛覚伝導路より中継核,殊に視床破壊に関心が寄せられ,視床正中中心核と視床内髄板核の限局破壊が問題になつたが,いずれにせよ術後生存期間の長い頑痛症での除痛効果を知れば両者の得失が明かになろう.腹痛にvirus性虫炎垂によるものの少くないこと,膠原病をRaynaud氏病と誤診することが多いなどの知見は脳外科に緑遠いが興味深い.
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