アンケート
慢性膵炎による腹痛の治療法
秋田 八年
1
,
鈴木 礼三郎
2
1鹿児島大学
2甲南病院外科
pp.970-972
発行日 1964年7月20日
Published Date 1964/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203381
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慢性膵炎には病理学的に,あるいは原因から,またはその症状から,一応しかるべき分類がなされている.しかし実際臨床でその確診を下すことは必ずしも容易でない.したがつて,上腹部痛を訴える疾患で,普通に見られる胃十二指腸や胆道の疾患を明らかに除外できて,しかも膵の腫脹やその走行に一致する圧痛,特有な放散痛などから慢性膵炎を一応推定している場合も少なくない.これは膵の病変を忠実に反映する信頼度の高い臨床検査法がない今日やむをえないところであろう.
したがつて,その疼痛に対してもまず一応薬物療法が行なわれしるのが普通で,この場合モルフィンの単独使用は膵分泌を促進し,いわゆるOddi筋のスパスムスをきたすので好ましくない.鎮痛作用があり,膵分泌に抑制的に働くアトロピン,ハバベリン.スコポラミン.バンサイン.プロバンサイン.クロールプロマジンなどがえ使用される.われわれはブスコパンを好んで使用している.さらに内臓神経,第7〜10胸部設交感神経節ブロックや旁背椎麻酔なども行なわれるが,われわれは好んで硬膜外にポリエチレンチューブ(No.15)を留置しておいてTh7〜Th10)の高さで持続硬膜外麻酔を行なう.これらの内科的処置に抵抗する頑固なる疼痛に対して外科的療法が適応される.これには手術時に膵よりの痛みの伝達路を切るいろいろの方法があるが,膵頭神経叢および左腹腔神経節正中側脚切除(吉岡)はその効果が確実であるといわれている.
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