今月の主題 膵・胆道疾患の臨床
膵疾患診療のポイント・アドバイス
慢性膵炎と腹痛—心身医学の立場から
陶山 匡一郎
1
,
小田 義英
1
,
長谷川 千賀
1
1国立東京第二病院・消化器科
pp.1312-1316
発行日 1989年8月10日
Published Date 1989/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222609
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今回,経験した症例は26症例で,うち慢性膵炎II群(心身症)12例,慢性膵炎疑診(心身症)14例である.胆道疾患またはアルコール嗜癖(過度の飲酒)が認められず,膵酵素逸脱を伴う,臨床的に6カ月以上に及ぶ上腹部痛,圧痛,背痛が持続または継続する症例で,PFD70%以下のものをII群,その他を疑診とした.全症例とも何らかの心身医学的問題点を具有している.
中井らは,慢性膵炎に強迫的性格を有するものを75%に認め,疑診例(疑診群,II群)では一次的な心身相関を認める現実心身症としてのニュアンスが強いことを指摘している.また,確診例(I群)ではアルコール依存症を介しての心身相関をうかがいうる性格心身症ともいうべき病態を呈するものが多い.そして疑診例ではdepressionや過敏性腸症候群の合併頻度が各々54%,78%と高く,中枢の関与および消化管の機能異常に基づく病態が示唆されることを報告している.
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