Japanese
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特集 癌の治療成績の向上
膵臓癌
An Improvement of the Results of the Surgical Treatment for Pancreatic Cancer
鈴木 礼三郎
1
Reizaburo SUZUKI
1
1甲南病院外科
pp.603-610
発行日 1964年5月20日
Published Date 1964/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203324
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はじめに
外科医にとつてメスを加え,それが永久治癒に連結しないほど悲しいことは無い.大きな努力をすればするほどその感を強くすることは誰しも経験することであろう.わたしは桂外科において桂教授および多数の共同研究者と幾度かこの悲しむべき事実に直面し,ついに術後5年生存という膵臓癌の治療成績を上げることができなかつた.ふりかへつてみると,教室で膵臓癌の手術に着手してから十有三年になる,膵臓癌はその発生部位により臨床面および治療予後の問題も大きな差があり,大別して膵頭部癌と膵体尾部癌に分けることができる.また原発性と続発性のものがあるが,本稿では続発性のものは一応除外し,主として膵頭癌について述べる(第1,2図参照).
膵頭部癌について
膵頭部癌の永久治癒は,外科解剖学的見地から膵頭十二指腸切除以外に無い,1935年ファーター氏乳頭癌に対しWhippleが二次的に膵頭十二指腸切除に成功して,膵頭癌においても根治手術の可能性を示した.原発性膵頭癌に対し,1937年世界で初めてBrunschwigが膵頭十二指腸切除に,成功したが3ヵ月後に広汎な癌転移で死亡した.
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