Japanese
English
論説
先天性胆道閉塞症の治療
Treatment of congenital obstructive biliary duct
植田 隆
1
,
岡本 英三
,
岩崎 武
Takashi UETA
1
1阪大武田外科
pp.39-45
発行日 1964年1月20日
Published Date 1964/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203236
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はじめに
先天性胆道閉塞症は,濃厚胆汁症候群(乳児肝炎を含む),あるいはときに胆管嚢腫等との鑑別が,特に生後月齢の早期において問題であり,生後1ヵ月くらいまでは遷延性黄疸あるいは乳児閉塞性黄疸として一括取り扱われることが多いが,これらの中もつとも頻度の高いものは先天性胆道閉塞である.
著者の手術例からみた比率では,真の閉塞症(先天性胆道閉塞)45例,濃厚胆汁症候群13例,胆管嚢腫10例で,約66%が胆道閉塞症となる.この比率はGellis1)(第1表参照),Hsia2)3),Krovetz4)等の比率とほぼ同様である.しかし手術をしなかつた症例,たとえば,先天性胆道閉塞症で既に生後月齢が進み肝硬変および門脈圧亢進症状の著明なものや,また濃厚胆汁症候群で明らかに自然治癒が期待できるため手術をしなかつたもの等を加えると,実際診療した実数は,閉塞症および濃厚胆汁症候群のそれぞれにおいて上述の数字よりさらに20%近く多い.さらに小児科において観察中自然治癒をきたした濃厚胆汁症候群は,われわれ外科側の観察数を遙かに上廻るものと思われる.
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