アンケート
胃癌—BⅠ法かBⅡ法か,BⅡ法胃切除ではantecolicaか,retrocolicaか,antecolicaではBraun吻合を行なうか
梶谷 鐶
1
,
峯 勝
2
1癌研病院
2京都府立医科大学
pp.1084-1085
発行日 1963年8月20日
Published Date 1963/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203142
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私どもが1946年以降に行なつた胃癌根治手術例中,胃全剔出,噴門切除および膵頭十二指腸切除合併例を除く,幽門側胃部分切除1,281例についてみると,BⅠ法とBⅡ法の行なわれた割合は表のごとくである.すなわち1953年までは多数をBⅠ法で行なつたが,1954年以降は大多数をBⅡ法で行なうよう変更した.もちろん胃の良性疾患では現在でも大多数をBⅠ法で手術している.胃癌の場合にBⅡ法を採用する主な理由は吻合部縫合不全などの術後の合併症をまれなことにある.すなわち良性疾患の手術に比べて胃癌の場合は周知のごとく全身的および局所的のいろいろの理由により縫合不全を起こし易い.私どもも比較的安全と思われる部類の症例にBⅠ法を採用したつもりであるが,BⅡ法の症例に比べて縫合不全が多かつた.もちろんBⅡ法症例中にも縫合不全は発生したが,縫合不全の治療も行ない易く,そのために生命が脅かされたことは少なかつた.またBⅠ法では膵やその周辺の局所再発の場合は吻合部に癌が波及して通過障害を起こすこともあるので,再発の面からみてもBⅡ法が良い訳であるが,これを立証する確実な根拠はもつていない.
さてBⅡ法についてであるが,これには多数の変法がある.私どもも数種の変法を行なつているが,ごく普通に採用しているのはGastroen-terostomia oralis inferior retrocolicaである.
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