MEDICAL NOTES
肺癌手術前に開腹術を,他
pp.1086-1087
発行日 1963年8月20日
Published Date 1963/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203143
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Onuigbo(Brit.J.Dis.Chest.55:86,1960)の肺癌12000例の剖検で肝転移40%,副腎転移33%,腎転移18%という頻度だそうである.肺癌ではCushing症候群,女性乳房のような内分泌症状を呈するものがかなりあり,症状は出て来なくても,17-OHcS分泌亢進、副腎過形成という状態はかなり多い.こうしたものの中には副腎小転移形成がかなりある.転移が両側ともに実質を破壊すれば,副腎不全,麻酔・手術によるショックをきたすので,開腹前に副腎を確かめておく必要がある.斜角筋リンパ腺に転移があれば,肺癌の手術療法はふつう企てない(Brinkman:Dis.Chest 38:152,1959)が,たとえ行つても予後はよくない.(Pinker:Dis.Chest 38:518, 1960).また上腹部に転移ある症例にも手術は試みないが,よし試みても成績は悪い.Bell(Ann.Surg157:427,1963)は開腹術を行い腹部に転移のないことを確認した肺癌28例では,18例が肺の根治術が可能で,resectabilityが高く,かつ平均生存期間が長かつた.それで斜角筋リンパ腺転移と共に,腹腔内転移の有無を,肺癌手術前にスクリーニングしておくべきであろう.Bellらの方法は正中切開で開腹,まず肝を視診・触診,いやしくも疑わしければbiopsy.
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