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手術の実際
腸外科—Ⅰ.腸管の縫合,切開,切除
Intesinal surgery (Ⅰ)
西本 忠治
1
1岡大医学部第一外科
pp.921-933
発行日 1963年7月20日
Published Date 1963/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203119
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腸管の縫合法には,第1図の1,2に示すごとく種々の方法がある.腸管の小創は,タバコ縫合(巾着縫合〕で容易に閉鎖できるが,少し大きいものは全層縫合(Albert縫合)と漿膜縫合(Lembert縫合)の2層縫合が行なわれる.
内腔に反転した面は多少壊死に陥るが,肉芽でおき代り,次いで粘膜で被われる.縫合部付近の漿膜が不当に傷けられる癒着の原因となり,全層縫各が粗雑であると壊死も強くおこり,厚い瘢痕を浅すようになる.通常創面には浸出液が出て,24時間以内には完全に気密になるが,初めの数時間は縫目から多少の腸内容の漏出はさけられぬものと思われる.全層縫合は漿膜縫合よりもかなりちみつに行ない,縫合の方向なども慎重にあるべきだ.余り強くしめすぎると却つて治癒の妨げとなる.大体出血が止まる程度でいいと考える.縫合後の一時的な浮腫のためには,キモプシン,ベノスタシン等の使用は適当ではないだろうか.
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