特集 脳動脈瘤および脳動静脈瘤(第24回日本脳神経外科学会シンポジウム)
脳動脈瘤・動静脈奇形の外科的治療
半田 肇
1
1京都大学医学部脳神経外科
pp.474-477
発行日 1966年5月1日
Published Date 1966/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202040
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教室で取り扱つた脳動脈瘤は124例,治療成績の内訳は第1表に示すごとくである。動脈瘤の手術法は内頸動脈瘤以外は原則として直接侵襲を加え,内頸動脈瘤の場合でも嚢状の場合はできるだけ直接侵襲を加えるという方針である。直接侵襲を加えた例54例中15例死亡ことに前大脳動脈瘤では26例中12例死亡しており,前大脳動脈瘤の手術成績がいかにも悪いようにみえるが,ほとんどの死亡例は昏睡〜半昏睡下での緊急手術であり,患者が昏睡でないかぎり,その手術成績は最近ではきわめて良好である。
脳動静脈奇形は98例,その治療成績は第2表のごとくである。98例中21例は入院時血腫を形成しており,この大部分の例はいわゆる緊急手術であるが,これを含めて直接侵襲を加えた43例中死亡はわずか4例である。方針は直接侵襲を加えるならば全摘出という方針である。ただ手術しなかつた45例中follow-upでわずか1例のみしか死亡していないということはこの脳動静脈奇形の手術適応がいかに重要であるかを考えさせる。
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