Japanese
English
症例
発病以来10年の経過を示した腹膜仮性粘液腫の1症例
A case of Psedomyxoma Peritonei of 10 year's Duration
千葉 博史
1
,
鈴木 時雄
Hiroshi CHIBA
1
,
Tokio SUZUKI
1日本大学医学部第一外科教室
11st Department of Surgery, Nihon Univ. School of Medicine
pp.548-552
発行日 1963年4月20日
Published Date 1963/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203070
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1.緒言
腹膜仮性粘液腫は,膠様粘液性物質が腹腔内に限局性またはびまん性に,一部は被膜におおわれた腫瘤状に発生増殖する疾患をいい,主として仮性粘液腫性卵巣嚢腫または虫垂粘液嚢腫の破綻により続発する病変であるとせられている.本症は組織学的には比較的良性の腫瘍といわれるが.臨床的には初期症状が極めて少なく診断は困難で,手術を行なつても再発し易く,数カ月から数年の経過で悪液質に陥り腹膜機能死をとげるのが多いとされている.
本症は1884年Werthにより始めて記載され,わが国では明治32年天野5)の報告以来現在迄に170例を数えているが,本邦の報告では手術所見または剖検所見の報告が大部分で,長期間にわたる経過を観察した報告は少なく池本27),山田ら47)の5年,川上の8年59),香山の9年26)という記載が散見されるのみである.
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