Japanese
English
論説
合成副腎皮質ステロイドホルモンによる消化管出血,穿孔の危険について
Gastro-intestinal haemorrhage and perforation associated with synthetic steroid-hormone therapy
斉藤 純夫
1
,
中村 和雄
1
,
三浦 健
1
Sumio SAITO
1
1東京大学医学部木本外科教室
1Department of Surgery Tokyo University School of Medicine
pp.349-355
発行日 1963年3月20日
Published Date 1963/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203046
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.まえがき
副腎皮質ホルモンが臨床的に使用されてから,10数年を経過し,現在その適応範囲は臨床各科におよんでいる.外科領域でも手術前後の副腎機能低下症や急性副腎不全症に用いられた頃から比較すると,合成ステロイドホルモンの種類・適応も拡大してきた.一方,使用量・力価の増加に伴い種々の副作用が現われる.肥満・満月様顔貌・食思亢進・肝肥大・多毛・浮腫・血圧上昇・多汗・痤瘡・糖尿.筋弱・脱毛・精神神経症状・病的骨折・性腺機能異常・血栓形成・腎機能障害・消化管出血・潰瘍穿孔・甲状腺機能低下・下垂体副腎不全などが合併症状とされる11).これらは使用ステロイドの作用が単一でなく,糖質作用・電解質作用・抗炎症作用・蛋白異化作用・抗アレルギー作用などの複合であるため,作用効果が合併してくるのである.こうした弊害を除くため,最近の合成皮質ステロイドは抗炎症または抗リウマチ作用など単一作用の強化が進められ,dexamethasone,paramethasoneなどが出現した.
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.