Japanese
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展望
活性気管支カルチノイド
Functioning Bronchial Carcinoids. A clinical review with special reference to the gastrointestinal carcinoids
渋沢 喜守雄
1
Kishuo SHIBUSAWA
1
1前群大
pp.1035-1049
発行日 1961年12月20日
Published Date 1961/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202842
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はしがき
カルチノイドは消化管粘膜の基底部に散在するenterochromaffin細胞(Kultschitzky)から発生する,通常良性の腫瘍で,転移をいとなむことなく長い経過をとり,たとえ転移を稀に形成しても癌様悪液質に陥ることなく,転移を抱いたまま長く生存を許すものと解されている.いうまでもなく,虫垂カルチノイドが最も多く,全腸管カルチノイドの80〜90%を占める.その虫垂カルチノイドは転移を形成することがきわめて少く,おそらく,今日まで虫垂カルチノイド転移の症例は文献に30例を越えないと思われる.したがつて,カルチノイド一般が,経過の長い,良性の腫瘍であるという印象を与えるのは,当然であろう.筆者は別の機会に(1957,1958 a,b,1961 a,b,c,d),消化管各部位のカルチノイド症例を文献から広く展望をこころみたが,回腸・空腸・盲腸などのカルチノイドはすでに虫垂カルチノイドと,その転移形成頻度・腫瘍細胞の嗜銀性・腫瘍の内分泌学的代謝学的活性度・臨床カルチノイド症状発生頻度において著しく異ることを痛感した.ことに,胃・胆道・直腸などの非好発部位におけるカルチノイドは,虫垂カルチノイドの与える概念・印象とは遠く遠く隔つているといわなければならなかつた.
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