外国文献
代用動脈,他
pp.981-984
発行日 1961年11月20日
Published Date 1961/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202836
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代用動脈応用は日常行われるところであるが,英国の報告をみるのも参考になろう.著者はDurham大学外科1955年来5年間のhomograft 40例,Orlon 2例,Dacron 50例の経験を報告している.対象は腹部大動脈瘤24例。腹部大動脈ないし腸骨動脈の閉塞33例,下肢動脈閉塞45例,その他14例,graft自体の合併症はhomograftに5例(漏洩4,大動脈瘤1)発生し,再手術してその3例を救つた.Orlonでは1例に周囲膿瘍発生し死亡.Dacronでは1例感染,1例graft reject (何れも救われる).つまりDacronが最も成績がよいことになる.疾患別では,大動脈瘤で5例の死亡あり,何れも術前破裂ないし漏出していたもの.死因は心不全1,肺合併症2,腎不全2であつた.予想されるごとくであろうか.大動脈ないし腸骨動脈の閉塞に対するgraft 15例(19回手術で)死亡4例.冠・脳・肺の血栓各1,イレウス1であつた.同疾患のthromboendarterectomy 18例では死亡がない.ただ1例は術前から陰茎・下肢の壊疽があり.その切断を行わぬうちに10日目死亡した.下肢動脈閉塞では死亡なし.それで大動脈瘤では,静脈系損傷を避け,術中血流停止部には強力にヘパリンを用い,腸骨動脈に凝血の残らぬよう手術上の注意が必要である.
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