Japanese
English
症例
左前腕に発生したEwing肉腫の1例
Case of Ewing's Tumor of Left-Forearm
稗貫 博
1
,
福井 四郎
1
,
小川 秀道
1
,
桑名 幸洋
1
Hiroshi HIENUKI
1
,
Shiro FUKUI
1
,
Hidemichi OGAWA
1
,
Koyo KUWANA
1
1札幌医科大学外科学教室
1Department of Surgery Sapporo Medical College
pp.562-565
発行日 1961年6月20日
Published Date 1961/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202777
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Ⅰ.緒言
1921年Ewing1)は骨髄原発性円形細胞肉腫を瀰漫性内皮腫として報告したが,その組織発生,概念内容については現在なお病理学者のあいだに種々の異論がある2).すなわちWillis3)はこのような腫瘍はなく実際は神経芽細胞腫(Neuroblastom),あるいは他の腫瘍の転移であると述べ,Ewingも後に内皮腫という語の意味を拡げ,腫瘍の発生母地を血管周囲リンパ管内皮とした4)5)6).また細網肉腫の一型で,とくにこれを区別する必要はないという説もあり7),現在では本腫瘍が骨髄支柱組織,すなわち細網内皮系に由来するという見解8)がもつとも支配的である.しかしながら本症は細網肉腫とはきわめて近い関係にあるが,骨から発生する定型的細網肉腫とEwing肉腫とのあいだには臨床的,レ線学的および形態学的に種々の相違点が認められている.9)
欧州ではAlbrecht10)(1927)がはじめて報告し,本邦では石原11)(1936)が第1例を報告して以来,中西・柳川12)の報告によれば昭和25年までに18例,昭和25年以降沼倉・野沢13)による報告までに32例,さらに著者らが文献的調査より見出した7例14)−20)を加えても現在までに59例報告されているにすぎない.
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