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綜説
開腹時における門脈圧肝静脈圧および末梢静脈圧の研究
Study of Portal Pressure, Pressure of kepatic vein and peripherial venous Pressure during Caparatomy
市川 靖一
1
Yasukazu ICHIKAWA
1
1東京医科歯科大学第一外科学教室
pp.299-312
発行日 1960年4月20日
Published Date 1960/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202576
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緒言
門脈圧,肝静脈および末梢静脈圧に関しては,すでに詳細なる研究がなされている.すなわちMoll (1892)が動物実験によつて,門脈圧を測定し生理学者の注目を引くところとなり,臨床的にはRouselot,Thompson,Whipple(1936〜1937)等によつて門脈圧亢進症の概念が提唱されて以来,正常門脈圧あるいは,門脈圧亢進症について幾多の報告がある.肝静脈圧については,Brodley Myer(1949〜1950)によつて,始めて臨床的に測定せられ,その後,多くの報告がなされている.しかし個々の静脈における圧の変動についての報告は割合少なく,まして3静脈(今後門脈,肝静脈,末梢静脈の3つの血管をさす.)の圧を同時に測定してその変動あるいは諸因子のおよぼす影響に関する業績は余り見ないようである.
教室では,主として上腹部疾患の開腹手術時に血管カテーテルを門脈,肝静脈および末梢静脈に挿入して,これ等を教室考案の圧測定装置に連結し,さらに特殊型電子管式電気抵抗記録計によつて3静脈の圧を自動的に連続描記せしめ,その変動,相互関係および諸因子が,圧におよぼ影響等について観察し2〜3の知見を得たのでここに報告する.
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