Japanese
English
綜説
胃曲線の研究—特に原発性慢性胃炎手術症例の重複胃曲線について
A study on the gastric motility curve of patients operated due to the primary chronic gastrtis
高橋 正司
1
Masashi TAKAHASHI
1
1東京医科歯科大学第二外科学教室
1Department of 2nd surgery School of Medicine Tokyo Medical and Dental University
pp.931-952
発行日 1959年9月20日
Published Date 1959/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202461
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Ⅰ.緒言
胃運動の研究方法は色々あるが,臨床的に利用でき,かつ成績が客観的に記録され,ある程度数量的取扱いができる点で胃内挿入ゴム球内圧変動を描記する胃曲線法にまさるものは現在のところない.
胃曲線の研究はBoldyreff(1904)1)によつてはじめてこころみられた.その後多くの人々によつて研究されてきたが,病的曲線を記載しているのは,Carlson(1913)2)が最初である.しかし氏は臨床診断面への応用についてはふれていない.病的胃曲線を臨床診断に応用したのは,九州大学小野寺内科教室の鐘ケ江(1925)3)にはじまる.鐘ケ江3,4)は胃癌,胃潰瘍および正常人の胃曲線を分類して,胃曲線が胃疾患診断上有力な資料であることを多数の症例で証明した.その後同内科教室では松藤および吐師5,6),沢田および藤田7,8)等によつて研究が行われ,臨床的意義が確立された3-24).さらに主としてわが国の多数の学者によつて追試されて25-45),臨床診断上の価値がみとめられたが,いまだ充分に活用されているとはいえない.
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