Japanese
English
検査法
食道縱隔外科に必要な検査法
Clinical Examination for Esophago-Mediastinal Surgery
飯島 登
1
Noboru IIJIMA
1
1東京大学医学部木本外科教室
pp.61-63
発行日 1959年1月20日
Published Date 1959/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202307
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食道外科に於ける手術侵襲の程度は勿論手術術式に依つて異るが,開胸は勿論の事,開腹する場合も多く,手術は相当長時間を要し,術中の出血も多量になる事があり,又手術の対象となる疾患の多くが悪性腫瘍である事から侵襲量の極めて大となる事は免れ得ない.食道狭窄症状を呈する患者に於ては,長期にわたる栄養不足の為全身栄養の低下,高度の貧血を示すことが多い.従つて,侵襲量を小にし術中のショック,術後合併症発生予防の為の処置の基礎となる可き臨床検査は慎重でなければならない.
全身の栄養状態を見る為に赤血球,ヘモグロビン濃度,ヘマトクリット,血漿蛋白濃度,循環血液量を測定する事は,術前のRoutineな検査として云うまでもない.肺臓,心臓の機能に関しては,胸部X線撮影,肺活量,呼吸停止時間,動脈血酸素飽和度の測定,EKGを施行する.又術後の腎臓に加わる負担が大となる為に,尿濃縮試験,稀釈試験を行つてその機能を予め確めておく事も忘れてはならない.これ等の検査に依つて障碍があれば,夫々の治療を行い,その好転を待つて手術を行い又,障碍の高度なる場合には手術の適応の有無,或はその方法も充分考慮に入れなければならない.例えば,胃瘻造設によつて患者の栄養回復を持ち,次で根治手術を施す事はその適当な例と考えられる.
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