Japanese
English
統計
術後の腹膜裂隙内に腸管が嵌入した1例及び本邦腸嵌頓症の統計的観察について
A case of incarceration in the mesenteric rents after colectomy and studies of statistical observations of the intestinal incarceration in Japan
木野 嘉郞
1
,
岸 広豊
1
Yoshio Kino
1
,
Hirokata Kishi
1
1日本医科大学齊藤外科教室
pp.875-878
発行日 1958年9月20日
Published Date 1958/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202240
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
緒言
腸間膜や,大小,綱膜における異常裂隙(裂孔)に腸管が嵌入した症例の殆んどすべては,急性イレウス症として,または剖検によつて発見される.しかし甚だ稀な疾患である.本邦では高安(明42),村田(明43)の報告に始まり,最近まで大凡40例の報告をみているにすぎない,私達の教室においては,過去23年間において,500余例のイレウスを経験しているが,本症は僅かに2例をみたにすぎない,その1例は手塚(昭29)によつて報告された.
斉藤教授は昭和29年に日本外科学会に宿題報告「イレウス」を,昭和32年には日本臨床外科医会に特別講演「術後イレウス」を担当され,その際過去23年間(昭10〜昭32)における全国大病院,教室から集められたイレウス症例は18120例であつたが,そのうち腸嵌頓症(外ヘルニア嵌頓は含まず)は152例,すなわち,全イレウス例中0.84%であつた.なお私達の調査によると,腹膜裂隙内嵌頓例は,152例のうち35例を占めていた.これは全イレウス例中0.19%,腸嵌頓症例中23%に該当する.すなわち甚だ少いものである.この35例は,腸間膜裂孔25例,大網裂孔7例,小網裂孔,横行結腸間膜及び小綱膜裂孔,円靱帯裂孔の各1例である.しかし後天的の発生原因についてみると,開腹手術が最も深い関係をもつている様である.すなわち,24例は明らかに手術後発生例であつた.(第1表,参照)
Copyright © 1958, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.