Japanese
English
綜説
術後静脈血栓症の臨床
Clinical Study on the Venous thrombosis after the operation
神谷 喜作
1
,
川井 一夫
1
,
桜井 隆
1
,
吉田 富貴松
1
1名大第一外科教室
pp.23-29
発行日 1958年1月20日
Published Date 1958/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202109
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術後静脈血栓症に対する認識は近年逐次たかまりつゝある.しかしその治療法は一般に依然として高挙罨法安静といつた姑息的な域を脱せず,その予防法に至つては全く等閑に附されている.術後静脈血栓症を医家が重要視する所以は勿論肺栓塞症をおこす危惧が存するからである.しかしながら術後静脈血栓症から肺栓塞をおこす率は決して高くない.各種心臓疾患に由来する動脈栓塞症の方が日常我々は接する機会が多い.肺栓塞症と異つて所謂"Postphlebitic Syndrome"として長年月にわたり下肢の腫脹,潰瘍に悩む場合は非常に多い.我々は血栓形成初期に抗凝固剤を使用することにより多くの症例について良好な結果を得ているが,これに反し単に安静療法のみをとつた患者が長年その後胎症に苦しむ事実をみて早期抗凝固剤療法の重大性について,我々の意見をのべてみたいと思う.
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