Japanese
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綜説
外科的脾腫疾患に於ける輸血の検討
A review of the transfusion in patients with splenomegaly
有吉 巍
1
Takashi ARIYOSHI
1
1九州大学医学部友田外科教宝
pp.583-587
発行日 1956年9月20日
Published Date 1956/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201845
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I緒言
脾臓は血液臓器であり脾腫疾患々者の多くが貧血を示すことが知られているが,かゝる脾腫疾患の摘脾手術に際しては手術時ショック,其の他の関係上貧血の問題が考慮されねばならない.元来脾臓疾患は血液疾患として内科領域より観察治療されているものが多く,軽度乃至中等度貧血の状態で内科医より外科に廻されるものが多いが,最近に於ては脾臓外科の進歩,普及に伴い術前処置を考慮せねばならぬ様な高度貧血をもつて直ちに外科医を訪れるものもみられる様になつた.斯様な場合術前処置として鉄剤其の他の貧血治療剤の投与も行われるが,貧血に加えて血漿蛋白量の正常化を計る処置として輸血の行われる機会が多い.然るにこの場合の貧血の成因には骨髄成熟障碍因子の外に循環血漿量増多因子,肝障碍因子等も関与している関係上,輸血量が相当大量となるにも不拘貧血恢復の遅々たることが多く,其の間には長時日が経過する上に輸血による経済的負担も生じ且大量輸血により脾腫患者に併存する肝機能障碍の悪化等が招来され,却つて逆効果を招くことも経験されるので,かゝる場合の輸血の問題に関して2,3の症例を示し考察を加えてみたいと思う.
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