特集 これだけは知っておきたい手術の適応とタイミング—注意したい疾患45
脾腫と摘脾
高橋 豊
1
1天理よろづ相談所病院血液病内科
pp.969-975
発行日 1979年6月20日
Published Date 1979/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207216
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■なぜ内科治療とのControversyになるか
脾臓の機能について,今日においていまだ知識のおよばない所が残されているにもかかわらず,脾臓は生命の維持に不可欠の臓器ではないとみなされがちであつたために,かなりの摘脾に関する経験の累積があつて,この経験的事実から摘脾の是非が論ぜられる部分が多いようである.摘脾は,急迫した苦悩があつてこれを取り除く目的で行なわれる場合はむしろ少ない.それだけに,術前においてなされる病態の把握と術効果の予測の正確さが要求されるわけであるが,このあたりにまず患者と医療側との間に認識の相違を生じるだけでなく,医療側間にcontroversyを生じる所があるように思われる.脾臓はいうまでもなく重要な造血臓器の一つであるので,摘脾の適応に血液学的観点が占める比重が大きい.以下の記述も主にこのような観点に立つ事をあらかじめお断りしておく.摘脾の適応を血液疾患に限定しても多岐にわたるため一括して記述する事は困難であるので,以下のように大別し,代表的疾患に限定して記述する.
摘脾の適応は以下に整理されよう.
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