Japanese
English
綜説
肝切除に関する検討
Studies on the Resection of Liver
三上 二郞
1
Jiro MIKAMI
1
1北海道大学(医学部第一外科講座)
1HOKKAIDO University, School of Medicine
pp.569-576
発行日 1955年9月20日
Published Date 1955/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201666
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1.まえがき
最近,殊に此の十年間に外科の各分野に於て成された幾多の輝かしい業績によつて,近代の外科学がまことに華々しい発展を遂げたことは衆知の通りである.しかし乍ら此の間に在つて肝臓の外科は依然として蓼々たる現状のように思われる.多くの臨床家は今日,肝臓自身が外科的治療特に肝切除の対称となる場合は甚だ稀であると考えて居るようである.肝切除は占くは1688Blanchardによつて始めて試みられたと言われて居るが,Warvi, W. N.は欧米の報告例を調査して1945年迄に570例を数えたと発表して居る.我国に於ては三宅(速)教授の報告(1910Banti氏病)以来文献上には僅々40例前後を散見するに過ぎない.第53回日本外科学会に於て教室の市川,葛西は主として包虫症(Echinococcus)の肝切除に就いて報告したが,その後も吾々は臨床的経験を重ねると共に,実験的にも種々検討を続けて今日に到つて居る.現在も尚多くの困難な問題に直面して居るのであるが,幾多先人の貴重な足跡を観み,今日迄の私自身の経験から肝切除に関する知見を述べ諸賢の御批判を得たいと思う.
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