学会記
第54回日本外科学会総会の感想
木本 誠二
1
1東京大学木本外科
pp.414-417
発行日 1954年6月20日
Published Date 1954/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201461
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第54回日本外科学会総会は5月2日から4日までの3目間,岡山市公会堂に於て開催された.本稿は所謂学会印象記ではなく,多数の演題の内容紹介でも批判でもない.特に私の関心を抱いた学会運営なり,問題を提供した2,3の演題についての感想を綴り,併せて今後のこれに対する私見を述べて見度いと思う.恩師福田保教授の後を受けて常任幹事の一翼を命ぜられたため,多少なりともその運営に関係を保つて行かなければならない立場上,大方め忌憚ない御批判を賜らば幸甚である.
会長津田誠次教授並に教室の幹事各位には,毎年のことながら遠来の吾々会員一同のために非常な御骨折を頂き,殊に地方での開催は慣習上--この慣習の良否は別であるが--特に歓待の労を賜つたことは,厚く感謝の意を表しなければならないと思う.学会に物見遊山ではない,とはよく言われる言葉であるけれども,しかしその機会に始めての土地の観覧をも兼ね,本年の場合について言えば,白砂青松の瀬戸内海の風物を観賞し,又美味しい中国地方の酒肴をも満喫しつゝ,平素打解けて話合う機会のない会員先輩同僚相互の親善を兼ねて専門的話題に興ずることは,決して意義の少ないことではないと思われる.唯会場の関係から開催地の選定には大きな制約があつて,会員が極度に増加した今後はこうした地方での総会開催は例外と考えなければならなくなるであろうことは誠に残念である.
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