綜説
葡萄球菌性膿瘍に対するトキソイドペニシリン併用の治療効果について
田中 明
1
1群馬大学医学部外科教室
pp.635-640
発行日 1953年11月20日
Published Date 1953/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201325
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
葡萄球菌毒素をホルマリンで無毒化したトキソイドが,免疫元性を保持して,動物実驗上感染防禦に有効なことが1929年Burnet4)によつて,報告されて以来,多数の報告が出て,その多く6)9)11)16)18)21)22)23)25)は優秀な治療効果を認めているが,これを認めないものも少数ながら7)15)ある.その後ペニシリンが出現して葡萄球菌性疾患のトキソイドによる免疫療法は殆んどかえりみられなくなつた.しかし,ペニシリンの葡萄球菌疾患に対する効果にも限界が見られるに至つた.即ちペニシリンは膿瘍,壞死巣のような病変部や髄膜炎のような病巣には滲透し難いのと17)19 20),ペニシリン耐性の葡萄球菌による疾患が近来増加しつゝあることである1)2)3)5)8).最近わが教室において,葡萄球菌化膿症でペニシリン療法の効を奏さなかつたものもしくはペニシリン耐性株によるものに対して,葡萄球菌トキソイドとペニシリンの併用を試みたところ,注目すべき効果を收めたのでこゝに報告する.
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.