Japanese
English
綜説
高度直腸脱に対する1手術法—Orr変法
An Operative Techique for Massive Rectal Prolapse
工藤 達之
1
Tatsuyuki KUDO
1
1慶應義塾大学医学部外科学教室
1Keiogijuku University Medical School, Surgical Department
pp.615-619
発行日 1953年11月20日
Published Date 1953/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201322
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高度の直腸脱はあまり多い疾患ではないが,その治療はかなり困難なものに属する.幼小兒の直腸脱は骨盤底部が身体の発育に伴つて強化されるに從つて自然に治癒するのが普通である.たまたま簡單な治療法を行つて極めて有効であつたとする発表もあるが,そのうちの幾何が治療を必要としたものであつたかに就いては多少の疑念なきを得ない.これに反し成人以後老人期に見られる直腸脱は高度の場合は直腸全層の脱出を来し,場合によつてはその整復すら困難な場合があり,到底肛門側からする姑息的な手術では治療の目的を達し得られないことが多い.
從来私は此樣な高度の症例に就いては,Küm—mel10)にならつて経腹的に直腸を仙骨前面に吊りあげて固定する方法を試みて来た.然しこの手術法は直腸脱患者に共通に見られる過長,過大の直腸,S字結腸に対する処置としては如何にも無力に見えた.そこでその強化策として,たるんだ小骨盤腹膜をひきあげて,固定した直腸の前面を覆つて縫着し,固定をより確実にしようとしたがそれでもなお再発の経驗をなめさせられた.その後ダグラス窩の処理が必要であることに気付いて2〜3の試みをした結果この術式に到達した.
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