綜説
下口唇外反下垂症に対する成形手術—癩性顔面神経麻痺による
伊藤 正元
1
,
元島 民郞
1
1國立療養所長島愛生園
pp.442-444
発行日 1953年8月20日
Published Date 1953/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201285
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癩患者の顔面は屡々甚しい醜形を呈するのであるが,その主な原因は顔面皮膚の結節・浸潤・瘢痕及びそれによる拘縮.或は鼻中隔穿孔による鞍鼻,又は顔面神経麻痺による兎眼,限瞼外反症及び下口唇外反下垂症等である.これらの醜形を更に別けてみると,單に美容的な障碍のみのものと,美容的な点もあるがそれよりも顔面の二次的奇形の爲に大きな機能障碍を起しているものがある.
各種の眼瞼の二次的奇形の場合には,それが結膜炎,角膜炎その他の眼疾患を起す直接或は間接の原因となると考えられるし,鞍鼻は往々にして呼吸困難を伴う.更に下口唇外反下垂症では構音障碍が現われ,液体を口内に含むことが困難であり,唾液が口角から流出し,飲食物の攝取が甚だ不自由であつて,食餌攝取或は談話の際に手をもつて下口唇を押上げてその用を足すことは我々が日常屡々見受ける処であり,又歯科学的見地からも歯牙の保護上,芳しからぬ状態である.
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