Japanese
English
症例
瘢痕性攣縮及び関節強直に対する「ナイトロミン」局所注入療法
Locale Injection and Intraarthicular Infusion of Nitromin (or Nitrogen-Musthard) as Prophylaxis and Therapy of Ankylosis and Scar Contracture. A Report on a Case and Its Sugestion
岩森 茂
1
Shigeru IWAMORI
1
1廣島醫科大學上村外科
1Hiroshima Medical College, Ist department
pp.311-313
発行日 1953年6月20日
Published Date 1953/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201249
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
1935年Bernblumが腫瘍の発育を抑制する物質として指摘したMusthard gasは第一次大戰にはNitrogen Musthard(以下N. Mと略す)として化学兵器の役割を演じたが再び医療方面に應用され,遂に10数年後,Gilman,Goodmann(1946)等により之が惡性腫瘍細胞の増殖に対し著明なる抑制効果を示す事を確認された.爾来本剤は惡性腫瘍の化学療法剤として一躍世界の脚光を浴び,石館教授及び其の門下により1),其れよりも毒性の少いN. MのN-oxideたるNitromin(以下N. mと略す)が創製されるや更に其の治療的應用範囲が著しく拡大された事は諸文献の示す通りである.即ち現在ではN. M及びNmが癌腫は勿論,白血病,淋巴肉腫,「ゼミノーム」,ホドキン氏病,骨髄腫,細網肉腫,ミクリッツ氏病等に対し,血管内或は直接腫瘍内注入により治効を示す事は衆人の認める所である.又此のN. M及びN. mの藥理及び作用機轉を應用して最近では,或は「ロイマ」に2),或は神経痛に,或は又其の稀釈溶液を局所的應用し,「ケロイド」や手術創瘢痕の整形に用いる等種々な報告にも接する.殊に山田氏3)のN. Mの局所的應用に関する研究は治療剤としてのN. Mの一新分野を開いたとも云うべき非常に興味のある仕事である.
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.