綜説
直腸癌に関する2・3の所感
島田 泰男
1
Yasuo SHIMADA
1
1市立宇和島病院外科
pp.309-310
発行日 1953年6月20日
Published Date 1953/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201248
- 有料閲覧
- 文献概要
直腸癌の問題は近来手術死亡率の著しい低下と治療が普及化せるため一般的に相当安易感を以つて取扱われている様である.癌腫として比較的容易に診断され且手術手技も安易化せるを理由として軽々に扱われるが如きは愼まなければならぬ.
手技の容易,死亡率の軽微の故を以つて猪突の勢を以つて,全國的に頸動脈球が剔出され,蛔虫性腹痛によつて虫垂が有無を云はせず切除せられ,適應を飛躍してまで胸廓成形術が流行し,且つは胃潰瘍の名の元に胃炎が全剔せらるる如き風調なからんことを念ずるに際し,直腸に於ける病変の炎症性乃至良性なるものを手技の安易感の故を以つて診断の愼重を欠き,相次いで直腸の切断せられゆく事なきを期し度い.
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.