今月の言葉
年頭の所感
S・K
pp.9
発行日 1954年1月1日
Published Date 1954/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200516
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新年をこの極寒の季節にむかえることは,いかにも新年にふさわしくてよいものだと感ずる。南半球の国々のことは,実はよく知らないのだが,恐らく酷暑の候にお正月をむかえるのだろうと察せられる.また四季の移り変りがハツキリしない南海の国々では,恐らく春のような季節に,正月らしく改まつた気分もないまゝに新年をむかえるのではないかと思う.
人生の長い道程の中に,1年ごとに毎年の区切りをつけて,そのたびに今までの生活や活動の決算をつけたり,反省をしたりして,そこで又更に向上を志して進むということは,まことに都合のよいことで,新年の意義は生活や仕事を貴ぶ者にとつては決して小さなものでないと思う.我が国のように,四季それぞれのハツキリした特長があつて,その移り変りも身にしみて感ぜられる国土で,嚴寒の季節に……しかし春はもうすぐやつて来るという希望を胸に懷きながら,引きしまつた気分の中に,今年こそはと心をはずませて新しい年を迎えるのが一番新年らしくてよいように思われる.
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