最近の外國外科
急性膵臟炎の治療法,他
R. Zenker
pp.787-788
発行日 1952年12月20日
Published Date 1952/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201167
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急性膵臟炎の治療法は現今は著しく変化し,今日では非手術的に種々の保存的処置が施される樣になつて来ている.膵臟被膜或は実質に切開を加える樣な以前に行われた外科手術は最早行われない.その理由はこの樣な手術は膵臟の機能を一層害し且つ活動化された膵液を腹腔内に自由に流れ出させると云う結果になるからである.保存的(非手術的)療法と云つても,その目的とするところは膵臟の機能を出来得る限り完全に休止せしめ,膵臟に対する化学的及び神経的刺戟の影響を除いて,その内及び外分泌機能を阻止するのである.從つて治療中は飮食物は全く與えず,嚴重な飢餓を5〜8日間守らせる.これによつて飮食物の刺戟による膵臟の分泌を全く去る.その他これ迄余り注意されてなかつたが,細い胃カテーテルを患者に嚥み込ませておいて,持続的に胃液を吸出する.
これによつてプロゼクレチンからゼクレチンの生ずることを阻止出来る.更に胃カテーテルによる胃内容の吸出は膵臟炎に常に随伴する胃アトニーを防ぎ得る.この胃カテーテルで胃液を吸出することが如何に患者に対して有効であるかは実施して見て驚く程である.膵臟分泌機能に対する神経的刺戟はアトロピンを続けて投與して軽減することが出来る.生理的食塩水.リンゲ液等の靜脈内持続的点滴注入や場合によつては輸血,輸血漿などの非経口的液体補給も常に十分施すべきである.又抗生物質剤の使用も膵臟炎の炎症に細菌感染が加わつて来て高熱等が認められた時には必要である.
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