Japanese
English
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エンテロコツケン腹膜炎の1例
A case of Enterococcus-peritonitis
斎藤 圭
1
,
沼本 満夫
1
Kei SAITOW
1
,
Mitsuo NUMOTO
1
1岡山醫科大學陣内外科教室
1Surgery, Okayama Medical College
pp.87-89
発行日 1952年2月20日
Published Date 1952/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200976
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緒言
最近文献上稀なエンテロコッケン腹膜炎の1例を経驗したのでここに報告する.急性腹膜炎の主な病原菌をあげれば,周知のごとく葡萄状球菌,連鎖状球菌,大腸菌次いで肺炎双球菌,淋菌,緑膿菌等である.エンテロコッケンは1886年Escherichによつて乳兒の糞便中に発見せられ,元来,口腔,腸管,胆道,泌尿生殖器中に存在する非病原性菌であつて,1899年Thiercelinにょってエンテロコッケンと命名せられたものである.しかして本菌による腹膜炎の報告は少い.即ち1907年Jehleは本菌による腹膜炎について報告し,1927年Meyerは本菌による敗血症を報告し,1931年Bertram und Böhneは腸炎の後に併発した本菌による腹膜炎の2例を報告し次いで1933年Gundel及び,1935年Brecotによつて何れもエンテロコッケン腹膜炎の症例が報告されている.一方わが國においては昭和8年伊藤,また同年赤嶺,大島,次いで昭和10年倉田,同年河石,昭和12年田川陳等の諸氏が本菌による腹膜炎の症例を報告しているに過ぎない.本症は非病原性であるエソテロコッケンが何等かの特殊條件の下に毒力を高めて腹膜炎を惹起するものであつて,その腹腔内侵入径路については女子生殖器を介し,あるいは腸炎の際,腸壁を経過して侵入するといわれている.
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