症例研究
胎兒腹膜炎の1例に就て
楢林 重樹
1
,
永田 弘
1
1長崎大學醫學部産科婦人科學教室
pp.57-59
発行日 1954年1月10日
Published Date 1954/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200976
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緒言
胎兒腹膜炎は1838年Simpson1)によつて報告されてからその存在を注目され,その後Dorland2)は本疾患と密接な關係にある胎兒腹水について1919年に至る迄の世界の文献を再調査しその320例を報告し,我國に於ても末永3),安住4),佐佐木5)等の報告が散見されるが,何れも本疾患を稀有なものとし死産の場合が多く,時に生産でも數日内に死亡し胎兒の異常な腹部膨大を件うものでその成因に關しては,母體の梅毒或は重症傳染病(化膿性,結核性等)の胎兒移行,泌尿性器の奇型,腸管異常及びその他不明の原因等を擧げている點は一致している。
偶々我が教室に於ても,ラボナールによる無痛分娩(産婦人科の實際第1巻第11號既報)施行中胎兒腹膜炎の1例に遭遇したので此處に報告する。
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