Japanese
English
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2,3軟部組織の急性化膿性疾患に対するペニシリンによる非観血的局所療法
Local Conservative Therapy with Penicillin for Acute Surgical Suppurative Diseases of Soft Tissues
桝 孔助
1
Kosuke MASU
1
1福島縣立女子醫學專門學校外科
1Lecturer of Surgery. FukushimaKenritsu Woman's Medical College
pp.417-419
発行日 1951年9月20日
Published Date 1951/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200885
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現今のペニシリンの應用極めて盛んな時代に於ては,これまで外科の発達に大いなる貢献をしたところの切開,排膿管挿入,対孔造設,等の言葉もまた著しく從来の概念から変革せられ,而も或る場合には次第に過去のものとならんとしている傾向さえ見られる.さきに木本氏等により尿素による膿瘍の無切開療法の提唱があり,更に榊原氏等は"急性炎衝に対する單純吸引療法"の基礎的研究発表に於て,その著効を奏することが少くないことを述べ、最近北條氏はフェノールカンフルによる熱性膿瘍の非観血的療法の臨牀例の報告などあるが,これら諸氏がいずれも結局切開は可及的に避くべきものとの意見にあることは注目すべきことであり,この問題に対する関心の高まりつゝある傾向を示すものである.今こゝに述べる療法もさきにFlorey M. E., Mac VineG.S.諸氏により急性化膿性乳腺炎に対して行われなペニシリン局所注入療法より暗示を得たものであるが,之を実地外科医が日常遭遇する疾患の2,3に應用してその著しき効果を確認し,ペニシリンのかゝる領域に於ける適用に関する研究の1部としてその結果を報告する次第である.
近年急性進行性感染に対しては直ちに手術的操作にうつることなく,先ず之を化学療法剤の系統的應用により症用を消失させるか,或いは頓挫させて限局性なものとなし,然るのち適切な外科的処置にうつるのが治療上一般の方向であつた.
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