Japanese
English
外科と病理
肺結核症を思わしめた肺臓癌の1剖檢例
An Autopsy Case of Bronchiogenic Carcinoma with an Impression of Chronic Pulmonary Tuberculosis
黑羽 武
1
Takeshi KUROBANE
1
1東北大學醫學部病理學教室
1Tohoku University, Department of Pathology
pp.285-286
発行日 1951年6月20日
Published Date 1951/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200839
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手衛をしても絢得のゆかぬ場合がありますが,病理解剖により始めて教えられる症例があると思います.この欄はそうした症例を掲載して参ります.御寄稿を歡迎します.(編集部)(400字詰10行以内)
肺結核の外科的療法は著しい進歩を示しつゝあるが,肺葉切除術の手技から推測すれば,寧ろ肺臟癌の方に多大の希望がかけられる.尤も,早期に疾病が発見されねばならぬことは明らかで,肺臟癌の症状は屡々結核と誤認されたり,軽視されるために,手術の時期を失することが多いのではあるまいか.剖檢材料から見た肺臟癌の頻度は吾國でも決して少くはない(長與,阿部).文明と共に肺臟癌が増えることや,肺結核との関係は既に論議されているところである(Ewing, Fried,長與,鈴木).米國ではレ線像に現われた肺円形集((round pulmonaryfocus)が高年者であれば先ず癌腫でないかと疑われ,試驗開胸によつて結核腫であると判明したら,癌でなかつたことを喜ぶべきであるとさえ云う学者もある(Culveret al.).これを直ちに吾が國の現状にあてはめることは出来ないが,剖檢してまで肺結核症と見ちがえた経驗があるので之を報告する.
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