Japanese
English
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頭部外傷に因る視力障碍に対する療法
Treatment of Defective Eyeright Daused by Head Injuries.
竹內 幸孝
1
Yukitaka TAKEUCHI
1
1東京逓信病院外科
1Surgery of Tokyo Teishin Hospital.
pp.455-456
発行日 1950年9月20日
Published Date 1950/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200694
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- Abstract 文献概要
頭部外傷時就中頭蓋底骨折に伴つて起る視力障碍は脳に於ける中枢より視神経索,視神経を経て眼球に至る間の何等かの変化によるものと考えられる. V. Hölderは法医学的立場から檢査の結果斯るものは頭蓋底骨折に因る視神経の損傷を其原因として考慮する要があるとした. 即ち剖檢に於て視神経管に骨折が認められた53例中42例に於て視神経の離断,挫滅,或は視神経鞘内出血を認めたのである. またBattleは頭蓋底骨折168例中8例(4.7%)に視神経損傷と考う可き所見があつたと云い,Graefe-Saenischによつても直後死亡せるものを除外せる頭蓋底骨折715例中26例(3.6%)に於て視神経萎縮即ち視力の障碍を認めたと称し,Uhthoffも亦臨床的にみた視神経萎縮の原因として頭蓋底骨折其の他の外傷性のものが3%あると云う. 即ち数字的に非常に近似している.
視神経は狹い視神経管を通過する関係で頭蓋底骨折時には其の部に於て種々の程度の影響を特に受け易いことも考えられる. 更に解剖学上脳質の突出部と見做されている視神経は末梢神経と異り損傷に際して再生現象を期待し得ない. 從つて視神経の離断,挫滅によつて起つた視力障碍に対しては処置はないのであるが神経内の出血,神経鞘内の出血或は血腫に基く視力の障碍に対し加療の適應ある場合は有るまいと云う訳である.
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